3割特例とは?対象・期間・計算例と、簡易課税との比べ方
公開:2026年10月28日 運営:合同会社chillax
3割特例は、2割特例が終わったあとの2027年分・2028年分に、個人事業主だけが使える特例です。消費税の納付額を、売上にかかる消費税の3割にできます。業種によっては、簡易課税のほうが少なくなることもあります。
対象と期間
- インボイス登録(または課税事業者を選ぶ届出)がなければ免税事業者だった年分の個人事業主(法人は使えません)
- 基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下であること
- インボイス発行事業者の登録を受けていること
- 使えるのは2027年分と2028年分の消費税の申告
国税庁の案内では、3割特例そのもののための届出は求められていません。使う年は、確定申告書の所定の欄に、3割特例を使う旨を記載します。
計算のしかた
納める消費税 = 売上にかかる消費税 × 3割。標準税率(10%)の売上だけなら、税抜売上の3%が目安です。
| 税抜売上 | 2割特例(2026年分) | 3割特例(2027・28年分) |
|---|---|---|
| 300万円 | 6万円 | 9万円 |
| 500万円 | 10万円 | 15万円 |
| 800万円 | 16万円 | 24万円 |
2026年分から2029年分までの流れ
特例を使えるかは、年ごとに2年前の売上で判定します。
| 年分 | 使える特例 | 判定に使う売上 |
|---|---|---|
| 2026年分 | 2割特例(最後の年) | 2024年 |
| 2027年分 | 3割特例 | 2025年 |
| 2028年分 | 3割特例 | 2026年 |
| 2029年分〜 | なし(簡易課税か一般課税) | 2027年(簡易課税は5,000万円以下か) |
判定するのは「その年の売上」ではなく「2年前の売上」です。たとえば2027年の売上が1,000万円を超えても、2025年の売上が1,000万円以下なら、2027年分は3割特例の対象になりえます(ほかの理由で対象外になる場合もあります。下の「よくある質問」を参照)。
職種別の計算例(売上500万円の場合)
税抜売上500万円(すべて標準税率10%)で、経費は考えずに比べた目安です。2026年分は2割特例、2027・2028年分は3割特例と簡易課税の少ないほう(同額なら「同額」)、2029年分以降は簡易課税で計算しています(単位:万円)。
| 業種 | 2026年分 | 2027・28年分 | 2029年分〜 |
|---|---|---|---|
| サービス業(第5種) | 10 | 15(3割特例) | 25 |
| 製造業(第3種) | 10 | 15(同額) | 15 |
| 小売業(第2種) | 10 | 10(簡易課税) | 10 |
職種の例:
- サービス業:デザイナー、ライター、エンジニアなど
- 製造業:ハンドメイド作家など、自分で作った物を売る人
- 小売業:仕入れた商品を消費者に売るネットショップなど
ほかに知っておきたいこと:
- 売上が800万円なら、どの額も1.6倍になります。
- 売上500万円のサービス業の人は、2027年分は15万円で、2026年分より5万円増えます。15万円を12か月で割ると1万2,500円なので、毎月この額を取り分けておくと2027年分の納税に備えやすくなります。
- 小売業の人が2027年分に簡易課税を使うには、届出が必要です。2026年分に2割特例を使った場合は、2027年分の申告期限までに出せば間に合います。
- 2029年分以降は、経費が多い人なら一般課税のほうが少なくなることもあります。
- 2028年4月からは、海外から日本の購入者に直接発送する1万円以下の商品の通信販売の売上は、3割特例の計算の対象から除かれます。国内で仕事をしている人には、通常は関係ありません。
- 業種の区分は一般的な例です。同じ職種でも、仕事の中身で区分が変わることがあります(仕入れた商品を事業者に売るなら第1種の卸売業など)。迷ったら税務署か税理士に確認しましょう。
- 飲食料品(いまは軽減税率8%)を売る人は、この表(すべて10%で計算)は当てはまりません。さらに2027年4月から2年間は飲食料品の税率が引き下げられ、簡易課税の計算方法にも特例が設けられます。
簡易課税とどちらが少ない?主に業種で決まる
簡易課税では、業種ごとに決まった「みなし仕入率」で計算します。売上の消費税から、その率の分を差し引いた残りを納めます。標準税率の売上だけで比べると、税抜売上に対する納める額の割合は次のとおりです。
| 業種(事業区分) | みなし仕入率 | 簡易課税 | 3割特例 |
|---|---|---|---|
| 卸売業(第1種) | 90% | 売上の1% | 売上の3% |
| 小売業など(第2種) | 80% | 売上の2% | 売上の3% |
| 製造業・建設業など(第3種) | 70% | 売上の3% | 売上の3% |
| 飲食店など(第4種) | 60% | 売上の4% | 売上の3% |
| サービス業など(第5種) | 50% | 売上の5% | 売上の3% |
| 不動産業(第6種) | 40% | 売上の6% | 売上の3% |
つまり、卸売業や小売業は簡易課税のほうが少なく、サービス業や不動産業は3割特例のほうが少なくなります。経費が多い人は、一般課税のほうが少ないこともあります。簡易課税を使うには届出が必要です。
よくある質問
3割特例を使うのに、届出は必要ですか?
3割特例のための届出は求められていません。消費税の確定申告書の所定の欄に、3割特例を使う旨を記載します。
もともと課税事業者だった人も使えますか?
「もともと課税事業者だったか」ではなく、年分ごとに判定します。インボイス登録(または課税事業者を選ぶ届出)がなければ免税事業者だった年分なら、対象になりえます。2年前の売上が1,000万円を超えていて、登録とは関係なく課税事業者になる年分は対象外です。
法人でも使えますか?
使えません。3割特例は個人事業主だけの特例です。法人の2割特例がいつまでかは、2割特例はいつまで?で説明しています。
2年前の売上が1,000万円以下なら、必ず使えますか?
必ずではありません。前の年の1〜6月の売上と給与の支払額がどちらも1,000万円を超えた場合や、一般課税の年に1,000万円以上の高額な資産を買った場合などは使えません。国税庁の改正特集ページにある「適用可否フローチャート」で確認できます。
2029年分からはどうなりますか?
簡易課税か一般課税で申告します。2028年分に3割特例を使い、2029年分から簡易課税にする場合、届出は2030年4月1日までに出せば足ります(国税庁の例)。簡易課税は、一度選ぶと原則として2年間は続ける決まりがあります。
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出典
この記事は一般的な情報です。個別のケースの判断は、税務署または税理士にご確認ください。